化粧スレートに塗装は必要?化粧スレートの葺き方についても解説します!
投稿日:2024.2.13
大手ハウスメーカーから建売住宅まで、数多くの住宅の屋根材として使用されている化粧スレート屋根。
「コロニアル」や「カラーベスト」などの商品名で知られているため、この呼び方のほうがピンと来るかも知れません。
カラーバリエーションが豊富で見た目もおしゃれな屋根材ですが、色あせや苔が気になって塗装を検討される人も多いのではないでしょうか。
ところがその塗装、本当に必要でしょうか…?
そこで今回は、化粧スレートはどういうものなのか?屋根塗装は必要なのか?といった疑問について解説していきます。
目次
化粧スレートとは?
化粧スレートとは、セメントに繊維素材を混ぜて成形された屋根材です。
厚さは5mmほどと薄く瓦に比べると軽量で、工事費も比較的安価に済ませることができます。
そのため、コストダウンを求められる新築住宅でよく使用されています。
工場や倉庫の屋根に使われている波型スレートと同じ素材で、屋根材自体が水を通すことはありません。
化粧スレートの葺き方
他の屋根材と同様軒先から葺いていきますが、まずは「軒先スターター」と呼ばれるスレートを取り付けます。
スレート中央の側面に目印の切り欠きがついているので、切り欠きの位置を合わせながら横と上に重ねていきます。
中央より少し上には4箇所の釘穴が開いているので、そこに釘を打つようになっています。
化粧スレートは表面から見ると平らな板を横に並べているだけのように見えますが、断面を見ると下の図のように二重三重になっているのです。
化粧スレートの水の流れ
化粧スレートは横の繋ぎ目部分(縦目地)の隙間から水が入り、下から抜けるような仕組みになっています。
ところが、塗装するとスレートとスレートの間に塗膜ができ、水が出ていく隙間がなくなります。
その隙間を開けるため「縁切り」や「タスペーサー」が必要とされています。
縁切りとは、カッターのようなもので塗膜を切断することです。
タスペーサーとは、化粧スレートの塗装の際に、雨水を外に出すためにあえて隙間を作るための道具です。
タスペーサーを入れる位置は、縦目地から10cmほどのところと決まっています。
ところが、タスペーサーを入れる位置を守らずに適当な位置に入れている業者も多いです。
縁切り不足や誤った位置にタスペーサーを入れたことにより、逆流した雨水が釘穴を伝って雨漏りにつながることも珍しくありません。
化粧スレートに屋根塗装は必要?
結論から申し上げると、化粧スレートに塗装は必要ないものだと当社では考えています。
なぜそう言い切れるかというと、化粧スレートには以下のことが言えるからです。
そもそも化粧スレートは水を通さない
そもそも化粧スレートは水を通さない材質で作られています。
しかし屋根塗装業者の多くは「屋根を保護するため」「防水性を高めるため」と言って塗装を勧めてきます。
ですが、それは誤った情報です。
実際、化粧スレートメーカーのメンテナンスガイドには、塗装は「美観目的のため」とはっきりと記載されています。
化粧スレートと同じセメント系の屋根材で「モニエル瓦」というものがありますが、それは「スラリー層」という防水層で基材が保護されています。
モニエル瓦のことを都合よく化粧スレートに置き換えて「基材を保護するために塗装が必要」という情報が広がったのかも知れません。
塗装しなくても50年以上雨漏りしていない工場の波型スレートと同じで、化粧スレートは塗装が剥がれても水を通すことはないのです。
塗れる範囲はごく一部
「化粧スレートの葺き方」の項目でもご案内したとおり、化粧スレートは二重三重に重なっています。
そのため、塗装できる範囲は屋根材全体の約半分です。
よく考えると、半分しか塗られていない塗料に対して「防水性が高まる」「遮熱性が高まる」と言うのもおかしな話ですよね。
化粧スレートは原価が安い
化粧スレートはホームセンターでも売られており、ケイミューのコロニアルクアッドの場合、1枚約400〜500円で購入することができます。
屋根1坪に対して20枚必要ですから、30坪の家でいうと原材料だけで24万〜30万、プラス職人の工賃がかかるという計算です。
※あくまでも屋根材だけの計算で、その他にもルーフィング等が必要になります。
大手ハウスメーカーになると仕入れ価格は半値ほどになりますから、計算したら「意外と安い」ということに気づくかと思います。
実は化粧スレートの原価と一般的な屋根塗装の価格はほぼ同じなのです。
原価が安いものに対して、同じくらいのお金をかけて塗装をする必要があるのかどうか、冷静に考えてみることも必要でしょう。
大事なのは二次防水(ルーフィング)
別のブログ記事でルーフィングの重要性について触れましたが、最終的に屋根の防水をしているのはルーフィングです。
見えないけれどとても重要!屋根のルーフィングについて解説します!
極端な話をすると、屋根はルーフィングだけでも雨漏りすることはありません。
ですがルーフィングだけだと見た目も不格好ですし、ゴムが主成分のルーフィングは紫外線に弱いため上から保護する必要があります。
そのため屋根材はルーフィングを保護するためのもの、と言っても過言ではないのです。
塗装することによる雨漏りのリスク
屋根塗装の際は洗浄→下塗り→中塗り→上塗りと、職人が4回屋根の上を歩きます。
80平米ほどの屋根の場合、化粧スレートには2千本ほどの釘が打ち付けられているので、その上を歩くことにより数多くの釘穴が広がる危険性が高まります。
ルーフィングが元気なうちは油で釘穴をキュッと締めてくれるのですが、年数の経ったルーフィングはそうもいきません。
屋根裏にのぼってみるとわかるのですが、屋根の下地となる野地板には、化粧スレートに打った釘が貫通している状態です。
その釘穴から水が浸みて雨漏りを引き起こしている現場をよく見かけます。
屋根塗装をするとルーフィングを傷めることにつながり、雨漏りを引き起こすリスクが高まるということも忘れてはいけません。
屋根に関する疑問・質問は、富士宮屋根工事店まで
今回は化粧スレートについて、また化粧スレートに塗装は必要ない、ということについて説明させていただきました。
塗装を検討されていた人にとっては衝撃の内容だったかも知れませんが、正しい情報として知ってもらえればと思い記事にした次第です。
当社では屋根に関する勉強会も定期的に開催しておりますので、お近くの方はぜひお問い合わせください。
文章ではうまく伝えきれない内容も、口頭にてしっかりとご説明させていただきます。
屋根に関する疑問や質問がありましたら、富士宮屋根工事店までお気軽にお問い合わせください!
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