ベランダ防水工事にかかる費用は?工事の種類や劣化症状も紹介
投稿日:2025.6.11 更新日:2025.6.11

ベランダのひび割れや色あせ、見て見ぬふりしていませんか?
それは防水機能が低下しているサインかもしれません。そのまま放置すると雨漏りを引き起こし、建物の寿命を縮めることも。
そうなる前に適切な防水工事が必要です。
本記事では工事の種類や費用、劣化症状までプロが分かりやすく解説します。
目次
ベランダ防水の種類
ベランダ防水工事には、使用する材料や施工方法によっていくつかの種類があります。それぞれに特徴やメリット・デメリットがあり、ベランダの状態や予算に応じて最適な工法を選ぶことが重要です。
ここでは、現在の戸建て住宅で主流となっている3つの防水工法をご紹介します。
FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維で強化したプラスチックで強靭な防水層を作る工法です。新築戸建てで主流となっており、高い強度と耐久性が特長です。硬化が速く、2~3日という短工期もメリットです。
ただし、硬さゆえにひび割れやすい側面もあり、5年ごとのトップコート塗り替えが推奨されます。
ウレタン防水
液体状のウレタン樹脂を塗り重ね、ゴム状の防水層を作る工法です。複雑な形状にも対応でき、継ぎ目のない美しい仕上がりが特長です。
既存の防水層の上から施工できる場合も多く、比較的安価です。
ただし、仕上がりが職人の腕に左右され、乾燥に時間がかかるため工期はやや長めになります。
シート防水
塩化ビニルやゴムのシートを貼り付ける防水工法です。工場生産のシートを使うため品質が安定し、高い耐久性が期待できます。
広い面積の施工に向いていますが、シート状のため複雑な形状には不向きです。また、シートのつなぎ目部分の施工が重要となり、初期費用はやや高めな傾向があります。
ベランダ防水工事をすべき劣化症状
ベランダの防水機能は、見た目では分かりにくく、気づかないうちに劣化が進行しているケースが少なくありません。手遅れになる前に、ご自身でチェックできる劣化のサインを知っておくことが大切です。以下のような症状が見られたら、防水工事を検討するタイミングかもしれません。
色あせ
ベランダ床の色あせや変色は、表面を保護するトップコートが劣化したサインです。トップコートは防水層を紫外線などから守る重要な役割を担っています。
この段階ならまだ雨漏りはしませんが、防水層の劣化が始まる警告信号です。放置すると劣化が加速するため、早めのメンテナンスを検討しましょう。
ひび割れ・剥がれ
ベランダ床面のひび割れや塗装の剥がれは、防水層自体が傷んでいる危険なサインです。
小さな亀裂でも雨水は内部に侵入し、放置すれば防水層の浮きや雨漏りを引き起こします。建物の構造にまで影響が及ぶ前に、このような症状を見つけたら、すぐに専門家へ診断を依頼することが重要です。
水溜まり
雨の後に水たまりが残るのも劣化のサインです。排水口を掃除しても解消されない場合、床の傾斜や防水層の膨れが原因かもしれません。
水が長時間滞留すると、その部分の防水層の劣化を著しく早めます。特に防水層の膨れは、内部に水が侵入しているサインでもあるため、軽視できない症状です。
雨漏り
ベランダ真下の部屋の天井や壁にシミやカビがあれば、それは最も深刻な劣化症状です。防水機能は完全に破綻し、雨水が建物内部に侵入しています。
放置すると柱や梁が腐食し、耐震性が低下する危険も。雨漏りを発見したら、一刻も早く専門業者に連絡し、原因調査と防水工事を依頼してください。
ベランダ防水工事の費用と工期
実際に防水工事を行うとなると、やはり気になるのが費用と工期です。ここでは、一般的な目安について解説します。
ただし、ベランダの広さや劣化状況によって大きく変動するため、あくまで参考として捉えてください。
費用相場
ベランダ防水工事の費用は、主に「単価(円/㎡)× 施工面積」で計算されます。この単価は、先にご紹介した防水工法の種類によって異なります。
- FRP防水: 1㎡あたり 6,000円~10,000円程度
- ウレタン防水: 1㎡あたり 4,000円~7,000円程度
- シート防水: 1㎡あたり 4,000円~7,500円程度
ただし、この費用には下地の補修費用や、手すり・室外機の一時的な脱着費用、高圧洗浄費、諸経費などが別途加算される場合があります。
特に、既存の防水層の劣化が激しく、撤去が必要な場合は、その分の費用が上乗せされます。正確な費用を知るためには、必ず業者に見積もりを依頼しましょう。
工期
工期も工法や天候によって変動します。雨が降ると作業ができないため、梅雨時期などは予定より長引く可能性があります。
- FRP防水: 1〜2日程度
- ウレタン防水: 3~7日程度
- シート防水: 1~4日程度
ウレタン防水は、下塗り・中塗り・上塗りと塗料を乾燥させる工程が複数回あるため、他の工法に比べて少し時間がかかります。
いずれの工法も、高圧洗浄、下地処理、防水施工、トップコート塗布といった工程を経て完了します。工事期間中はベランダの使用や窓の開閉が制限される場合があるため、事前に業者の説明をよく聞いておきましょう。
ベランダ防水工事で費用を抑える方法
決して安くはない防水工事。少しでも費用を抑えたいと考えるのは当然のことです。
ここでは、品質を落とさずにコストを削減するための、賢い方法を2つご紹介します。
別の場所の防水工事と一緒に行う
外壁塗装や屋根修理を検討中なら、ベランダ防水工事も同時に行うのが賢い選択です。これらの工事には、15~20万円ほどかかる足場の設置が共通して必要になります。
別々の時期に工事をすると、その都度足場代が発生してしまいますが、まとめて行えば一度で済み、足場代をまるごと節約できるのです。また、業者との打ち合わせやご近所への挨拶も一度で完了するため、時間と手間の削減にもつながります。
相見積もりを取る
防水工事を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」が不可欠です。
1社だけでは、提示された金額や工事内容が適正か判断できないため、最低でも3社に現地調査を依頼しましょう。
比較する際は、総額の安さだけで決めず、見積書の内訳をしっかり確認することが重要です。
どの工法で、どんな材料を使うのか、下地処理や保証は含まれているかなどを細かくチェックしてください。
極端に安い見積もりは、必要な工程を省く手抜き工事の可能性も。費用だけでなく、担当者の対応や提案内容も総合的に見て、最も信頼できる業者を選ぶことが、満足いく工事の鍵となります。
まとめ
ベランダ防水は、大切な住まいの寿命を守る重要なメンテナンスです。
ひび割れなどの劣化サインを見逃さず、早めに専門家に相談することが、被害と費用を抑える鍵となります。
FRP、ウレタン、シート防水など、各工法の特徴を理解し、ご自宅の状況に最適なものを選びましょう。
工事の際は相見積もりを必ず取り、提案内容や費用を比較して信頼できる業者に依頼することが大切です。
定期的な点検と適切な工事で、安心して暮らせる住まいを維持しましょう。
<O>