換気棟(かんきむね)って何?メリットやデメリットについても解説します!
投稿日:2023.12.14
皆さんは「換気棟(かんきむね)」という言葉を聞いたことがありますか?
「聞いたことはあるけど詳しくは知らない」という人や、「我が家の屋根にも付いている」という人もいらっしゃることでしょう。
換気棟はその名の通り屋根の「棟」の部分に付いていて目が届かないため、実物を見たことがない人がほとんどではないかと思います。
そこで今回は、換気棟とはどういうものなのか、またその仕組みやメリット・デメリットについて解説していきます。
換気棟とは?
換気棟とは、屋根の棟に付ける換気システムのことを言います。
軒裏に設けた通気孔から空気を取り入れ、小屋裏内にたまった熱気や湿気を棟から外に排出することを目的としたシステムです。
法律で設置が義務付けられているわけではありませんが、フラット35の条件になっている「小屋裏換気」のひとつの方法とされています。
そのため、新築で家を建てた人はいちどは耳にしたことがあるかも知れません。
同じ「小屋裏換気」の方法としては、以下写真のような「軒裏給排気」「壁給排気」があります。
これらの小屋裏換気は建物の下から目にすることができるため、見たことのある人も多いのではないでしょうか。
次の項目では、換気棟とはどのような仕組みになっているのかを、写真とともに解説していきます。
換気棟の仕組み
換気棟を付ける際は、軒裏に吸気孔を設ける必要があります。
例えば室内の換気をする時は、2箇所以上の窓を開けると空気の通り道ができて効率的に換気ができますよね。
それと同じ原理で、軒裏から吸気することにより、効率的に屋根から暖かい空気や湿った空気を排出することができるのです。
なぜ屋根のてっぺんから排出できるのかと言うと、熱や湿気は上のほうに上がっていく性質があるためです。
そのため、軒裏から吸気することにより屋根のてっぺんに開いた穴から熱や湿気が逃げるという仕組みとなっているのです。
換気棟の設置方法
換気棟を取り付けるためには、まずは棟の下のルーフィング、下地に通気孔を開けて空気の通り道を作ります。
その通気孔の周りに棟下地を取り付け、上から棟換気用の棟カバーを取り付けたら完成です。
余談ですが、屋根工事の際に換気棟のカバーを外すと、この通気孔が開いていなかったと言うケースがまれにあります。
通気孔が開いていない換気棟は、ただの「飾り」同然ですよね^^;
換気棟のメリットとは?
昨今の夏の暑さは異常で、特に屋根からの熱の影響を受けやすい2階はとても高温になるため、エアコンの効きも悪くなってしまいます。
そこで換気棟を付けることにより小屋裏にたまった熱を排出してくれるので、エアコン代の節約につながります。
また、屋内に湿気がこもりやすい高気密高断熱住宅においては、換気棟を付けることにより湿気を効率的に排出することができるため結露防止にもなるのです。
換気棟から熱や湿気を効率よく排出することによりエコで長持ちする住まいを実現できる、というのが換気棟を付ける最大のメリットと言えるでしょう。
換気棟のデメリットとは?
換気棟を付けるためには屋根に穴を開けるわけですから、雨漏りを引き起こす可能性がゼロとは言い切れません。
いちおう、市販されている換気棟のユニットは水が回りにくいような仕組みにはなっています。
ですが、それと引き換えに熱が外に逃げにくくなるというデメリットもあります。
雨漏りのリスクを回避することと熱を効率的に排出することのバランスが取りづらい、というのが換気棟を付けるデメリットとも言えます。
また、雨仕舞に詳しい屋根専門業者でなければ施工が難しい、というのも換気棟があまり普及しない理由のひとつとも言えるでしょう。
そもそも換気棟って必要?
換気棟のメリット、デメリットをお伝えしてきましたが、そもそも換気棟は必要なものでしょうか?
結論から申し上げると「適切に付けられた換気棟はあったほうがいいけども、そうでない換気棟は意味がない」です。
当社では、換気棟が付いた屋根を現場調査でも数多く見てきました。
ところが換気棟に手を当ててみても、そこから暖かい空気が出てきている感覚は正直あまり感じられないのです。
なぜならば、屋根の大きさに対して設置されている換気棟の範囲が狭すぎるからです。
実際に設置されている換気棟は、例えて言うならば部屋の窓を1cmだけ開けているような気休め程度のものです。
なぜこのようなことになっているかと言うと、問題はフラット35で定められている国の基準があまり現実的ではないためです。
国の基準では、天井の面積から換気面積を算出するようになっています。
ですが、実際のところ切妻屋根と寄棟屋根でも換気できる量は違いますし、昨今の異常気象からするとその算出方法では絶対的に換気量が足りていないのです。
効率的に屋根の換気をしたければ、棟全体に換気棟を付けるべきだと言っても過言ではありません。
ところがそうしてしまうと屋根全体に穴を開けることになるので、雨漏りのリスクを考えると現実的ではありませんよね。
天窓に関してもそうですが、雨漏りのリスクのあるものを屋根に付けるのはできるだけ避けたい、というのが屋根屋のホンネでもあります^^;
まとめ
これまでの解説から、当社は換気棟反対派と思われるかも知れませんが、決してそういうわけではありません。
実際に屋根カバー工事の際には、換気棟を残したいとのお申し出があった場合はそのようにさせていただいております。
静岡県御殿場市川島田 コロニアルNEOカバー工事 換気棟の施工
棟換気を残すか塞ぐかはお客様にご判断いただいており、こちらから無理強いするようなことはありませんのでご安心ください^_^
当社ではお客様のご要望をしっかりとヒアリングしつつ、お客様にとってベストなリフォームをご提案いたしております。
換気棟をはじめ屋根のことで疑問に感じることがありましたら、富士宮屋根工事店までお気軽にお申し付けください!
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