モニエル瓦ってなに?日本瓦との違いやメンテナンス方法についても解説!
投稿日:2024.9.24
当社でもたびたび修理のお問い合わせをいただく「モニエル瓦」。
「瓦」と聞くと日本瓦を想像する方が多いかと思いますが、その原材料や製造過程は全く違うものです。
そこで今回は「モニエル瓦」とはどんな屋根材なのか、また日本瓦との違いやメンテナンス方法についても解説していきます。
モニエル瓦のメンテナンスをお考えの方は必見の内容となっていますので、ぜひ最後までチェックしてください!
目次
モニエル瓦とは?
モニエル瓦はヨーロッパ発祥の屋根材で、国内では1970年代〜80年代を中心に広く流通していました。
洋風でおしゃれな見た目のモニエル瓦は大手ハウスメーカーでも採用されていたため、「我が家もこの瓦」というご家庭も多いのではないでしょうか。
ところが2010年にモニエル瓦を販売していた日本法人が解散してしまったため、国内では入手することができなくなってしまいました。
日本瓦との違いとは?
日本瓦は粘土が主成分で、表面に釉薬(ゆうやく)といううわぐすりを塗って高温で焼き固めた屋根材です。
この釉薬は焼成することでガラス質になるため耐久性が高く、塗装メンテナンスの必要がありません。
いっぽうモニエル瓦は、コンクリートで作られた屋根材です。
DIYで作ったことがある人なら分かると思いますが、コンクリートはセメントに水・砂・砂利を混ぜたものです。
モニエル瓦はコンクリートを型に流し込んで固めた基材に、セメント系の着色剤を吹き付けることにより防水層が作られています。
その防水層のことを「スラリー層」と呼んでいます。
つまりモニエル瓦は基材に防水性がなく、スラリー層のみで防水性を保っている屋根材なのです。
このように日本瓦とモニエル瓦は「瓦」という呼び名こそ同じものの、その原材料や製造過程は全く違うものなのです。
実はやっかいなモニエル瓦
モニエル瓦は新品の時にはスラリー層のランクが6種類ほどあり、ランクが高いほど長持ちします。
スラリー層は経年劣化により色褪せたり、カビやコケが生えてきたりするため、塗装メンテナンスをする人が多いのが現状です。
ところがスラリー層は塗料がのりにくいため、塗装の前に高圧洗浄機でスラリー層を取り除く必要があります。
ここで勘のよいかたはピンとくるかもしれませんが、スラリー層を取り除くと防水性能がなくなってしまいます。
もちろんモニエル瓦には専用の防水性能が高い塗料を使用するのですが、しょせん塗料は塗料です。
先ほど申し上げたスラリー層の6つのランクのうち、いちばん下の防水性能ほどしかありません。
そのためいちど塗装をしてしまったら、何度も塗装を繰り返さなければならないのです。
実を言うとモニエル瓦は、いちども塗装せずに色がなくなってきたら葺き替えするのがいちばん長持ちします。
また替えの瓦が販売されていないため、割れてしまったら部分補修をするか屋根葺き替えをするしか方法がないという、やっかいな屋根材なのです。
セメント瓦と化粧スレートとの違いは?
モニエル瓦に似た屋根材で「セメント瓦」というものもあります。
どちらもセメントが主成分なので、ひと目見ただけでは区別がつかないかもしれません。
ですが、瓦の小口(断面)をよく見るとその違いがわかります。
セメント瓦は砂利が含まれていないため小口が平らですが、モニエル瓦には砂利が混ざっているため、小口が凸凹しています。
または裏側を見ると、モニエル瓦には「M」のマークが刻印されていますので、それで区別することもできます。
セメント瓦もモニエル瓦同様、表面の塗膜が剥がれてくると基材がもろくなります。
またモニエル瓦同様、製造会社が解散していることが多く替えの瓦がないのが現状です。
同じセメント系の屋根材として、現在も広く普及している「化粧スレート」があります。
化粧スレートはセメントに繊維素材が混ざった屋根材で、基材が水を吸うことはありません。(パミールなどの欠陥商品を除く)
世間一般的に化粧スレートの塗装を勧める業者が多いのは、モニエル瓦と化粧スレートをいっしょくたにしているからではないでしょうか。
化粧スレートに対して「塗膜が剥がれると防水性がなくなるので塗装が必要」という売り方をしている業者には注意が必要です。
あなたの屋根に塗装が必要かどうかは、正しい知識をもって判断することが重要ですよ。
屋根塗装のデメリットに関しては、以下記事もご参照ください!
モニエル瓦の修理、リフォーム方法とは?
次にモニエル瓦の修理、リフォーム方法について見ていきましょう。
部分補修
先ほどモニエル瓦を長持ちさせるのは「いちども塗装しないこと」だとご説明しましたが、強風時に飛来物で瓦が割れてしまうこともよくあります。
また屋根塗装の際に、職人が瓦の上を歩いてうっかり割ってしまった、ということも珍しくありません。
ほんの数枚割れてしまった瓦のために屋根葺き替えするのは予算的にちょっと・・・という場合は、部分補修をすることも可能です。
その方法は以下の手順になります。
1.軒先のモニエル瓦を撤去する
2.撤去したモニエル瓦と割れた瓦を差し替える
3.瓦を撤去した軒先に防水処理をして、瓦と同系色の板金でカバーする
当社で過去に行ったモニエル瓦部分補修の施工事例もぜひご参照ください!
ただしこの方法はあくまでも簡易補修ですので、雨漏りの保証はできません。
今後も長く住まれるご予定があれば、屋根葺き替え工事をおすすめいたします。
屋根葺き替え
モニエル瓦のリフォームとしてベストな方法が、屋根葺き替え工事です。
なぜならば、屋根材だけでなくその下のルーフィングも新しくなるため、住まいをもっと長持ちさせることができるからです。
雨漏りや瓦が割れる不安から解消される、安心のリフォーム方法ですね!
ところでモニエル瓦は日本瓦同様、屋根カバー工事ができません。
なぜならば瓦自体が割れやすく、重量もあるためその上にカバーするとなると耐震面においても現実的ではないからです。
当社で行ったモニエル瓦の葺き替え工事は以下現場レポートをご参照ください!
静岡県富士宮市大中里 モニエル瓦の葺き替え工事 雨漏りしていた屋根
静岡県富士宮市大中里 モニエル瓦の葺き替え工事 ラーチ合板とルーフィング張り
静岡県富士宮市大中里 モニエル瓦の葺き替え工事 屋根材張り付け
モニエル瓦のことなら富士宮屋根工事店まで!
今回はモニエル瓦について解説してきました。
洋風でおしゃれな外観のモニエル瓦ですが、替えのものがなく扱いにくい屋根材ということがお分かりいただけたかと思います。
当社ではモニエル瓦の部分補修や葺き替え工事に関しては、相当数の施工実績がございます。
「モニエル瓦が割れたけどどうすればよいの?」「葺き替えしたいけどいくらくらいかかるの?」といったお問い合わせお答えすることも可能です。
モニエル瓦のことなら富士宮屋根工事店までお気軽にお問い合わせください!
−Y−